【提供 三毛猫さん】    エンゼルの稚魚。


by mefmef
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カテゴリ:おタコさん(完)( 33 )

フィナーレ

青木金蔵の話は無事終了することが出来ました。
駄文にお付き合い頂いた数少ないお客様には心より御礼申し上げます。

ありがとうございました。



 (出演)

金さん   青木金蔵
      ありがとよ。おれは天国へ召されちまったけど、
      酒は旨いし、ねえちゃんはきれいだ。最高。

玉田    玉田春雄
      ほんまおおきに。また、どっかでなあ。

しのぶ   三谷勇
      ありがとう。お店にも寄ってね。うふふ。

和さん   山田和子
      本当にありがとうございました。

ユミ    山田由美
      ありがとね。花婿募集中で~す♪

常さん   柏崎常夫(柏崎土建社長)
      御礼申し上げ候。


 (協力)  無断掲載なので苦情があったら削除します。

アクアリウムひかる 台東区池之端
はん亭       文京区根津
ジャズスポット壺屋 台東区御徒町

不忍池ザリガニ釣り少年隊
不忍池ガチョウ組合

根津2丁目観賞魚愛好会
真鶴赤提灯協同組合
真鶴釣り船を応援する会
湯河原ペット販売業組合

関西食の文化を守る会
浅草もんじゃ協同組合

 (資料提供)
ダイビングサービス海  沖縄県石垣市
海の博物館     東海大学海洋博物館
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by mefmef | 2005-03-01 09:46 | おタコさん(完)

復活

和さんと娘のユミは、ユミの運転する車で東京に向かっていました。

>> お母さん、金さんが好きだったんじゃない?

そりゃあ、好きに決まってるでしょ。

>> ちがう、そういんじゃなくて、男の人として。

う~ん。魚だって、水と水草と、それに空気だって必要じゃない。

>> 金さんは何だったの。

そうね、金さんは、ずっと見守ってくれた飼い主だったのかもね。

>> ふ~ん。


車は御徒町に入りました。

今回和さんは新しい金魚を買いに行きませんでした。金さんの飼っていた水槽を再現してみようと思ったのです。話は、金さんから嫌というほど聞かされていたので、店の名前や魚の名前に苦労することは有りませんでした。ただ、水族館ヒカルはアクアリウムひかると名前が変わっていました。それとも、カタカナに弱い金さんが勝手に日本語にしていたのかも知れません。電話で事情を話すと一月程の間に揃えられるだろうとの話でした。それが、昨日、揃ったと連絡が入ったのです。

不忍池に沿って走っていくとアクアリウムひかるは簡単に見つかりました。
店員に名前を告げると手早く5つのビニール袋に魚たちを入れてくれました。



店に帰った二人は、すでに海水を入れて、ろ過も一週間まわした水槽に魚たちを入れました。ユミはバッグから紙切れのようなものを取り出しました。

>> はい、お母さん。頼まれてたシール。

まあ、ステキじゃない。うふふ。

>> でしょ。こんなもんでも一生懸命作ったんだから。

シールはユミがパソコンで何度も作り直したものでした。和さんは、その(金蔵トロピカルランド)と書かれたシールを水槽に張りました。

その夜は金さんと金蔵トロピカルランドの話で店はたいそうなにぎわいになりました。とさ。



         おしまい。
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by mefmef | 2005-03-01 09:42 | おタコさん(完)

さよなら金さん

和さんは金さんか常さんから電話があるのでは。と、午前中から店に出ました。

掃除でも始めようとした時、水槽の金魚が腹を上にして浮かんでいるのに気がつきました。
近くによって、呼吸を確かめようとした時、電話のベルが鳴りました。

>> 金さん、日付がちょうど変わるころに亡くなったよ。

和さんは電話を切るとカウンターの椅子に腰掛けて、浮かんだ金魚を見つめていました。


どの位の時間が経ったのでしょう。和さんは腰をあげ、金魚を手の平に乗せて裏庭にでました。
雲のところどころの切れ間から青空が見え始めています。

小さな赤いスコップで植木のそばの土を掘り、金魚を埋めて、両手を合わせました。




目を開けると、木の葉に座った小さなアマガエルと目が合いました。アマガエルは右手を上げて手の平をこちらに見せたような気がしました。目を凝らすと、ただ正座してこちらを見ています。

>> ずいぶんと、ひさしぶりねえ。どこに行ってたの。

和さんは思わず微笑みました。そして、その目からは一粒の涙がこぼれ落ちました。

やがて、アマガエルは向きを変えて、ピョンと跳ねて葉陰に消えて行きました。
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by mefmef | 2005-02-28 09:43 | おタコさん(完)

長い夢


金さんは遠い空間をぼんやりと見上げていました。

>> 金さん。なんだよう。黙ってられると気味が悪いよ。

馬鹿野郎!こんな小汚い赤提灯で飲んでるとセンチメンタルになっちまうんだよ。

>>小汚い赤提灯に皺くちゃババアで悪かったね。

悪いに決まってらあ。早く娘に店を譲ったほうが客のためだぜ。


なんで、良い大人がメダカかねえ・・・・・・・・・・

金さんは長い長い夢を見ていました。しかし、それはほんの一瞬の事だったのです。
夢を見ながら椅子ごと金さんは後ろに倒れました。金さんと椅子が後ろの壁に衝突して店全体が揺れたように感じられました。衝撃で出窓の水槽が揺れ、大きな赤い金魚が驚いてバシャバシャと暴れました。

金ちゃん。大丈夫? 金ちゃん。

店のおかみは慌てて、カウンターに回りました。ちょうどその時、扉を開いて入ってくる人がいました。

>> ひえ~っ。 ひでえ雨になっちまったよ。
   びしょ濡れになっちまった。

あ、常さん。

>> どうした。和ちゃん。

金ちゃんが、金ちゃんが倒れちまって。さっきまで悪態ついてたと思ったらガシャーンて倒れちゃって。

>> 救急車よぶから。いま呼んでやるからよ。



10分程で救急車が入りました。その間、金さんは和さんの胸にずうっと抱かれていました。



雨の中を担架に乗せられた金さんは救急車に運び込まれていきます。

>> わたしは、この子の親と兄弟付き合いをしてきたんです。
   わたしが同行します。

常さんは救急車に乗り込み小さな補助席に腰をかけました。


傘をさした、和さんは赤いライトがクルクル回るのをぼんやりと見ていました。ずっと、その灯りが曲がり角を曲がって見えなくなるまで。

いよいよ雨は激しくなって、傘の上でばたぼたとはねました。
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by mefmef | 2005-02-27 07:50 | おタコさん(完)
和さんは早速、湯河原のホームセンターへ金魚を買いに出掛けました。

ピンポンなんとかという名前の金魚は見当たりません。

うろうろしていると、一匹の金魚と目が合いました。

金魚はじーっと和さんを見ています。丸い体はピンポンちゃんに似ています。

>> これも、なんかの縁ね。

和さんは、その金魚と、その金魚に似合いそうなもう一匹を買って帰りました。

金魚はどんどん大きくなって、一匹は野球のボールほどになり死にました。もう一匹は2年半ほど経ってソフトボールの球ほどになって、ある日、死にました。和さんは、金魚を庭に埋め、また小さな金魚を買いました。



時は流れ、金魚は死に、また新たな金魚が現れ、そしてまた時が流れました。
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by mefmef | 2005-02-26 08:35 | おタコさん(完)

結婚祝い

>> あら、金さんいらっしゃい。

ほれ、水槽もってきたよ。

和さんの赤提灯に新聞紙に包んだ60センチ水槽を肩にかかえた金さんが入ってきました。前の日に金さんが使わなくなった水槽の話をすると、和さんが欲しいと言ったのです。

>> 金さん、早速、悪いわね。

いやあ、もう使う予定もないし、使ってもらえれば本望ってもんだよ。

>> あら、嬉しい。そこの、出窓のとこ、空けといたから。
   そこに、お願い。

あいよ。

>> あ、その前に、あ、あんた、これ裏で洗ってきてよ。

#> はいよ。

板さんがカウンターから出てきて3人が揃ったとき、金さんが包んであった新聞紙をビリビリと剥がしました。出てきた水槽には、あの(金蔵トロピカルランド)と書いた紙が貼られたままでした。金さんは玉田に包装をまかせたことを後悔しました。

>> あはは、金さんらしいわ。でも、可愛いわよ。
#> あはは。

金さんは慌てて、紙を剥がそうとしましたが、うまくいきません。

>> 大丈夫よ。あとでゆっくり剥がしとくから。
   じゃあ、あんた。洗ってきて。

#> はいよ。

板さんは水槽を持って出て行きました。

>> 実はね、私たち今日、入籍したの。
   彼、再婚で、まだ前の奥さんともめてるから式は挙げられないんだけどね。
   でも、水槽が良い記念に成ったわ。

入籍? おう、それはメデタイじゃんか。おめでとう。なんだ、そうと分ってりゃあ、あんな中古品じゃなくて、なんか用意したのによお。

>> いいの、いいの。わたし嬉しいわ。

そうかい、そう言ってくれると有難いけどよ。

>> わたし、金魚を飼いたいの。良いかしら?

そりゃあ、和ちゃんにあげたんだから、金魚でもイルカでも、和ちゃんの好きなものを入れたら良いよ。遠慮は要らないよ。和ちゃんのものだもん。

>> わたしの友達に羽生さんて人がいるんだけど、
   その人が飼ってるピンポンなんとかって金魚が凄く可愛いの。
   わたしはピンポンちゃんって呼んでるんだけど。

金魚か。考えたことなかったけど、良いかも知れない。おっとりした和ちゃんには似合っているかも知れないね。

>> わたしも(和子金魚ランド)って書こうかな。

あはは。和ちゃんも人が悪いよ。あれは、単に冗談なんだから。
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by mefmef | 2005-02-25 10:57 | おタコさん(完)

おひっこし

>> おい。カネヤン居てる。

おらん。

#> あはは。こんにちは。お引越し手伝いにきました。

あれ、しのぶさん。これは、これは。

>> カネヤン。これは、これはじゃありゃせんで。
   なんも支度してへんやん。

支度って。ベッドとタンスと水槽くらいしか無いし。最近の引越屋さんは全部やってくれるらしいよ。

>> それが、素人のあかさたな。 あさはかさ。

おまえくろうとか?

>> 学生時代は引越屋のバイトが本業やったわ。

学校は行かなかったってこと?

>> まあ、ええがな。 引越屋はええ、ええと言うても、
   支度がしてないと腹たつもんやでぇ。


玉田は手馴れた手つきで水槽を新聞紙で包んで、ガラス・割れもの注意!と、マジックで大きく書いた。布団はたたんでシーツでくるんだ。

しのぶは食器を新聞紙で包んで鍋とバケツの中につっこんだ。

3人がはん亭の一階の甘味処で季節外れのお雑煮を食べて帰ってくると、引越屋の青いトラックが着いていて、積み込みはあっという間に終わった。

>> ほな、たっしゃでな。今度遊びに行くから、釣り船、只で乗せてくれよ。
#> わたしもね。うふふ。
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by mefmef | 2005-02-24 09:54 | おタコさん(完)

もんじゃ

なんや、このゲロみたいなシュールな喰いもんは。こんなん、終電の駅の階段にぎょうさんあるで。

>> うるさいな。これから食べるって時によくそんな事が言えるわね。

そやかて、しのぶちゃん、東京のお好み焼きや言うから来たのに、これがお好み焼きかあ?

>> もんじゃ、お好み焼きなんてめじゃないわ。

も、もんじゃ。そりゃ、どんな、もんじゃ?

>> 面白い。

しのぶちゃん、ちゃうやろ。面白いちゅうんは眉間にシワよせて言うもんとちゃうやん。

>> 黙って食べたら良いの。美味しいんだから。

・・・

>> ・・・

うまい! 旨いがな。これ。このちっちゃあヘラで食べるんがお洒落やね。しのぶちゃんみたい。

>> でしょ。

ビールに合うわ。う~ん。たまらん。好き。カネヤン連れて来たら良かったなあ。のんべやからな、あいつ。喜んでたとこやわ。そういえば、カネヤン会社辞めるんやて。

>> え~。なんで?

うん。なんでもな。家業を継ぐ言うてたけどな。ほんまはきんとと死んだからやないかと、わし思うねん。きんととで会社やめる。なんと恐ろしいこっちゃで。

>> あんたもわたしで人生無駄にするかもよ。

なに言うてんねん。しのぶちゃん。わしほんま好きやねん。すてんといて。な。な。
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by mefmef | 2005-02-22 10:58 | おタコさん(完)

トロピカルランドの閉店


再び、金さんがのろのろと起き出したのは、もう日が落ちようとしたころでした。

五つの遺体は、和ちゃんの墓の隣にひとつづつ埋めました。
海水は全てトイレに流しました。

2ヶ月足らずの金さんの水槽生活は幕を閉じました。

水音のしない、がらんとした部屋に耐え切れず、飲みにでかける金さんでした。
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by mefmef | 2005-02-21 13:16 | おタコさん(完)

・・・

>> カネヤンいてる。あら、カギ掛かったるで。

・・・

>> おい。こら。ええかげんにせんとクビやど。

・・・

>> この、たこ。あほ。ぼけ。かす。すかたん。火点けんど。

・・・

>> あかん。こりゃあ、おらんな。
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by mefmef | 2005-02-21 09:29 | おタコさん(完)