【提供 三毛猫さん】    エンゼルの稚魚。


by mefmef
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリ:おタコさん(完)( 33 )


金さんは部屋の隅の小さな箪笥の上に水槽を置きました。

水槽に砂を入れました。

2本のポリタンクの海水を注ぎ込みました。

上部ろ過を設置しました。

照明を付けたました。

電源を入れました。

白濁した水がパッと白く輝きました。

魚たちのポリ袋を水に浮かべました。

【金蔵トロピカルランド】と細い紙に書きました。

水槽の正面上部に紙を貼り付けました。

ニタッと笑いました。

そして、金さんは赤提灯に飲みに出かけました。
[PR]
by mefmef | 2005-01-20 11:15 | おタコさん(完)

水族館ヒカル

水族館ヒカルは台東区池之端にありました。

金さんは文京区根津の6畳3畳の狭いアパートに住んでいました。

金さんの部屋から水族館は歩いて3分、歩数で200歩位です。

以前、金さんは二度程ヒカルを覗いていました。ヒカルは海水魚専門店で日本の内外から様々な魚が取り寄せられていて、金さんが好きだったのは花の様なイソギンチャクをベッドにしてゴロゴロしているクマノミでした。クマノミは何種類か居て、ハゼのように細長いクマノミに心惹かれました。
しかし、何時真鶴に帰らなければならなくなるか分らない自分には飼うのは無理だと諦めていました。
しかし、あの常さんの水槽を見たとき何かが吹っ切れたのでした。

金さんはヒカルの前に立っていました。そして、意を決してドアを開きました。

60センチのろ過付水槽、クマノミ、イソギンチャク、ポリタンクの海水を手早く買い揃えました。
帰り間際に、常さんのヒラマサを小さくしたような金色の4センチ位の魚を買いました。店主の説明だと、鮫などの大きな魚の口先を好んで泳ぐパイロットフィッシュという魚だそうです。

「泳ぎならヒラマサなんか比じゃないですよ」と店主は言いました。
[PR]
by mefmef | 2005-01-18 14:34 | おタコさん(完)

金さんの過去


金さんは本当は青木金蔵といいます。真鶴の釣り船の船頭、いや船長さんです。

金さんは遠い空間をぼんやりと見上げていました。

>> 金さん。なんだよう。黙ってられると気味が悪いよ。

馬鹿野郎!こんな小汚い赤提灯で飲んでるとセンチメンタルになっちまうんだよ。

>>小汚い赤提灯に皺くちゃババアで悪かったね。

悪いに決まってらあ。早く娘に店を譲ったほうが客のためだぜ。



なんで、良い大人がメダカかねえ!?金さんは遠い昔を思い出していました。

金さんは若い頃、家業の釣り宿を継ぐのが嫌で東京でサラリーマンをしていました。
休みの日は真鶴に帰って船に乗る事を条件に父親は渋々許したのでした。
帰って船に乗っても「釣りなんかしてる奴の気が知れねえ」と遠慮なしに言うので客の評判は良く有りませんでした。
しかし、常連の常さんは金さんの父親と親しかったことも有って、良く声を掛けてくれました。

>> 金ちゃん、今夜、家で飲もうや。
   今日釣れた魚を刺身にしてよう。

常さんは地元の土建屋の社長で庭師が絶えず出入りするような豪邸に住んでいました。
玄関正面には2メータ位はあるドデカイ水槽が客を出迎え、その中には自慢の釣果のヒラマサが豪快な泳ぎをみせています。

>> 金ちゃん。これ凄いだろう。
   金ちゃんとこの客じゃ新記録のヒラマサだぞ。

常さんと酒を飲みながら「俺も飼ってみるかなあ」と金さんは考えました。
[PR]
by mefmef | 2005-01-17 17:56 | おタコさん(完)